不動産投資を検討する際、「土地」は最も重要な資産の一つです。建物のように時間とともに価値が下がることがなく、適切に選び、活用すれば、安定した収入源と長期的な資産形成を実現できます。本記事では、不動産投資における土地の購入・活用・運用までを徹底的に解説します
目次
不動産投資における土地の価値と役割

不動産投資の成果を左右する最大の要因は「土地選び」です。土地は建物と異なり、老朽化しても再生可能で、立地や周辺環境次第で将来価値が上昇することもあります。つまり、建物よりも「どんな土地に投資するか」が成功を決めるのです。
不動産投資で土地活用に興味がある方の関心事は主に下記3つが多く見られます。
① 既に所有している土地を収益化したい
② 土地を購入してアパートや駐車場経営を始めたい
③ 土地投資の基本やメリット・リスクを知りたい
自分がどの立場にあるのかを整理したうえで、最適な土地活用の戦略を立てることが重要です。
土地を所有している人がアパート経営を始めるメリット

土地をすでに持っている場合、アパート経営は非常に有利な投資方法です。最大の理由は「利回りの高さ」にあります。
例えば、3,000万円相当の土地に5,000万円のアパートを建設したケースを考えましょう。
1戸8万円×8戸=年間768万円の家賃収入とすると、建築費のみの投資で表面利回りは約15.4%。一方、土地を購入して8,000万円の総投資をした場合は9.6%に下がります。土地をすでに保有しているだけで、利回りが大きく改善するのです。
さらに、借入額が減るためローン返済の負担も軽減されます。仮に金利2.5%・35年ローンの場合、5,000万円借入なら月約18万円の差が生じます。返済余力が高まることで、空室や家賃下落といったリスクにも柔軟に対応できるのです。
加えて、土地を担保にすれば融資審査が通りやすくなることもあります。特に都市部や路線価の高いエリアであれば、金融機関は評価を高く見積もる傾向にあります。土地代が不要な分を建物のグレードアップに充てれば、競争力のある物件に仕上げられるでしょう。インターネット無料設備やオートロック、宅配ボックスなど入居者ニーズを反映した設備投資が可能になり、長期的に安定収益を確保できます。
土地購入から始める不動産投資のポイント

一方で、土地を購入してアパート経営などを始める場合は、資金計画が重要です。土地購入時には、物件価格のほかに仲介手数料、登記費用、印紙税、不動産取得税といった諸費用が発生します。加えて、建物建築費用の15~20%程度を設計料や申請費用として見込む必要があります。
1億円規模の投資なら、自己資金は全体の15〜30%(1,500万〜3,000万円)が目安です。自己資金が少ない場合は、「土地先行融資」や「つなぎ融資」を活用することでスムーズにプロジェクトを進められます。特に土地先行融資は、住宅の建築前に土地購入費用だけを先に借りられる住宅ローンです。通常より低い住宅ローン金利が適用されるうえ、住宅ローン控除も利用可能で、資金繰りの安定に役立ちます。
土地活用の代表的な投資方法と収益性
土地を活かした不動産投資には、アパート経営のほかにもさまざまな手法があります。どの方法を選ぶかによって、初期費用や利回り、運用の手間が大きく異なります。ここでは代表的な3つの土地活用法を、メリット・デメリット・収益性の観点から詳しく見ていきましょう
駐車場経営|小規模でも始めやすい安定投資
遊休地や住宅地の一角を活用して駐車場経営を行うのは、土地活用の中でも最も手軽な方法の一つです。建物を建てる必要がないため、整地・舗装・区画線引きといった最低限の設備投資で始められます。初期費用は規模にもよりますが、数十万円から数百万円程度と比較的少額です。
運営形態には「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があります。月極は長期契約で安定収入が見込める一方、利回りは年3〜5%程度とやや控えめです。これに対してコインパーキングは回転率が高ければ10%前後の利回りも期待できますが、精算機や照明設備などの導入コストが高く、また定期的なメンテナンスも必要になります。
駐車場経営の魅力は、他の活用法に比べて撤退が容易な点です。将来、土地を売却したり別の建物を建てたりする際にも、柔軟に転用できるため、将来的な資産戦略の自由度が高い方法といえるでしょう。
太陽光発電|固定買取で安定した長期収益を得る
郊外や広い土地を所有している場合に有効なのが、太陽光発電設備を設置して電力を売電する投資方法です。太陽光発電の大きな特徴は、「固定価格買取制度(FIT)」によって20年間にわたり一定価格で電力を買い取ってもらえる点にあります。そのため、長期的に安定したキャッシュフローを見込むことができます。
初期投資額は規模により異なりますが、一般的に数百万円から1,000万円程度が目安です。利回りは7〜10%前後が相場とされ、駐車場よりも高い収益を期待できます。
一方で、天候による発電量の変動や、パネルの劣化による出力低下といったリスクもあります。また、定期的な清掃やパワーコンディショナーの交換など、メンテナンスコストも無視できません。 しかし、建築が難しい土地や傾斜地、住宅建設に不向きな場所でも設置できるため、「使いにくい土地を収益化できる」という点で非常に有効な活用手段です。特に、地価が安い地方エリアであっても一定の収益を生み出せるのは、太陽光投資ならではの強みといえます。
底地投資|長期安定収入を得られるが専門知識が必要
底地投資とは、他人に貸している土地(借地権付き土地)を購入し、借地人から地代を受け取る投資方法です。投資家は土地のみを所有し、建物は借地人(テナント)が所有・管理します。そのため、建物の修繕費や維持費を負担する必要がなく、運用の手間が少ないのが特徴です。
底地投資の利回りは2〜4%程度とやや低めですが、長期にわたって安定した地代収入を得られるため、リスクの小さい保守的な投資先として注目されています。特に、相続対策として底地を保有するケースも多く、節税効果を見込める場合もあります。
ただし、底地投資には特有の注意点もあります。借地人との関係性や契約内容が収益性を左右するため、契約更新や借地権の譲渡、返還交渉などに専門知識が必要です。また、売却時には借地権者との調整が必要になる場合もあり、流動性がやや低い点もデメリットです。
どの活用方法を選ぶべきか
土地活用の選択肢を検討する際は、土地の立地条件と自分の投資目的を照らし合わせることが大切です。たとえば、駅近や商業エリアにある土地なら、アパートやマンション建設による家賃収入型の投資が有利です。反対に、住宅需要が少ない郊外エリアでは、太陽光発電や月極駐車場のように需要が立地に左右されにくい活用法が向いています。
また、初期費用と収益性のバランスを見極めることも重要です。短期間での利回り重視ならコインパーキング、長期安定収益を目指すなら底地投資、といったように、自身の資金力とリスク許容度に応じて選択肢を整理しましょう。
税務面でのメリットと節税戦略
不動産投資では、建物部分に対して減価償却が適用できるため、税務上の大きな節税効果があります。建物本体は耐用年数22〜27年、附属設備は15年で償却可能です。土地自体は減価償却できませんが、土地を活用してアパートや賃貸住宅を建てることで、帳簿上の経費を増やし、所得税を軽減できます。
また、赤字が発生した場合には給与所得と損益通算できる点も魅力です。特に本業収入が多い会社員や公務員にとって、不動産投資による節税効果は非常に大きなメリットとなります。
初心者が土地投資で成功するためのステップ

土地を活用した不動産投資は、正しい手順を踏めばリスクを抑えながら堅実に収益を得られる方法です。しかし、闇雲に物件を探して契約を進めてしまうと、思わぬトラブルや資金不足に直面することもあります。ここでは、初心者が土地投資で失敗しないための基本ステップを、順を追って解説します。
ステップ1:市場調査と情報収集
最初に行うべきは、投資対象となる地域の市場調査です。土地の価格相場や過去数年間の地価推移を確認し、上昇傾向にあるか、または下落しているかを把握します。併せて、その地域における賃貸需要や空室率、利回りの平均値といったデータを調べることで、土地を活用した際にどの程度の収益が見込めるかが見えてきます。
また、人口動態や世帯構成にも注目しましょう。たとえば、単身者が多いエリアではワンルームアパートの需要が高く、ファミリー層が多い地域では駐車場や戸建て賃貸の需要が見込めます。地域の特徴を的確に把握することが、投資戦略の第一歩です。
ステップ2:資金計画の策定
次に行うのは、具体的な資金計画の立案です。不動産投資においては、総投資額と自己資金、借入金のバランスが非常に重要です。まず、自分がどの程度の規模の投資を行うのかを明確にし、そのうえで用意できる自己資金を算出します。また、ローンを利用する場合は、月々の返済額が家賃収入のどの程度を占めるのかをシミュレーションしておくことが大切です。将来的な金利変動や空室リスクも想定し、無理のない返済計画を立てることで、安定した経営を続けることができます。
ステップ3:専門家との相談と情報収集
土地投資では、個人だけで判断するのではなく、専門家の意見を取り入れることが成功への近道です。不動産会社に相談すれば、地元の市場動向や今後の開発計画など、一般には得にくい最新情報を入手できます。また、税理士や不動産コンサルタントに相談し、節税効果や経費計上のポイントを確認しておくと、将来的な税務対策にも役立ちます。特に減価償却や損益通算などの仕組みを理解しておくと、投資の収益性を正確に見極めることができるようになります。
ステップ4:現地調査と最終判断
候補となる土地や物件が見つかったら、必ず現地を訪問して実際の環境を確認します。日当たり・騒音・道路の幅員・周辺施設の利便性などを、自分の目でチェックすることが大切です。また、平日の昼間と夜、休日など、異なる時間帯に訪れることで、地域の生活環境や治安の違いを把握できます。さらに、建ぺい率や容積率、用途地域などを事前に確認し、将来的な建築や活用の可能性を見極めましょう。
不動産投資は長期的な事業であり、焦って決断するよりも、綿密な準備を積み重ねた方が確実に成果につながります。じっくりと情報を集め、自分に合った投資規模と活用方法を見極めながら、一歩ずつ着実に進めていくことが成功への近道です。
まとめ|土地を制する者が不動産投資を制す
不動産投資における「土地」は、単なる投資対象ではなく、将来の収益を支える基盤です。既に土地を所有しているなら、そのポテンシャルを最大限に活かす戦略を。購入から始める場合も、立地選定・資金計画・税務戦略を緻密に立てることで、安定的な資産形成が可能になります。
駐車場・太陽光・アパート経営など、土地活用の手法は多様ですが、共通して言えるのは「長期的な視点」が必要だということです。目先の利回りだけでなく、地域の将来性や資産価値の推移まで見据えた投資判断こそが、土地投資成功の鍵となります。
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