アパート経営など賃貸経営の家賃はいくら? 適切な家賃設定の方法や基準について

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アパート経営など賃貸経営の家賃はいくら? 適切な家賃設定の方法や基準について

不動産投資において家賃の設定は、賃貸経営を成功させるための重要なポイントです。家賃設定が安すぎるとそれだけ収入は減り、利回りも下がります。とはいえ、家賃設定が高ければ入居のハードルも上がるため、そもそもの想定賃料を得ることが難しくなる可能性もあります。

 

よく不動産投資の広告等で「20%以上の高い利回り」を謳い文句に訴求しているものがありますが、はたして本当にそんな利回りは出せるのでしょうか?その投資不動産は現実的な家賃設定なのか、その家賃設定で本当に満室になるのかなど、数値を鵜呑みにするのではなく、吟味が必要です。

 

では、運用する物件にかかるコストや周辺の賃貸需要などを考慮し、どうすれば最適な家賃設定をできるのでしょうか。今回はアパート経営などの不動産投資において適切な家賃設定ができるように、家賃の決め方や設定基準等を整理してみました。

不動産投資・賃貸経営において
家賃設定が重要な理由とは?

 

イントロでも触れていますが、不動産投資では「適正な家賃」を設定することが非常に重要です。家賃の価格設定が高すぎれば入居者が見つかりませんし、家賃が安すぎれば十分な収入を得られません。そのため、入居者とオーナーの双方が納得できる適正な家賃設定を心がけるのがポイントです。「入居者がその物件に住みたいと思え、オーナーが収益を十分に確保できる家賃」を考えることで、お互いが納得できる家賃に近づきます。

 

アパート・マンション・店舗・事務所など不動産の種類に限らず、この「適切な家賃設定」は賃貸経営を行う上だけでなく、そもそもの「投資対象としての物件を見極める」際にも重要なポイントになってきます。というのも、多くの投資用物件が高い利回りを訴求に広告や営業を行っているのが現状ですが、その根拠が確かか否かは会社によってまちまちです。極端に言えば、相場からかけ離れた高い家賃設定をしたうえで満室経営の場合の表面利回りを算出し、物件の運用コストなどを度外視した内容であれば、見かけは非常に魅力的な投資先に映るでしょう。ただ、いざ蓋を開けてみると想定通りにいかなかった…というケースも往々にしてあるのです。

 

このように、家賃設定は物件選びからその後の賃貸経営まで、不動産投資を行う上で非常に重要な要素であるのは言うまでもありません。

 

 

不動産投資で適正な
家賃設定するための3つの視点

 

では、具体的にはどうすればその家賃設定が適正かどうか判断できるのでしょうか。適正な家賃を設定するには、おおきく3つの視点を掛け合わせて検討・判断するのがおすすめです。

 

1_周辺の家賃相場やトレンド

まず押さえたい視点は、物件のあるエリアの家賃相場とそのトレンドです。家賃相場やトレンドは、人口動態や周辺施設などの事情により大きく変動します。主に賃貸需要があり、家賃相場が上昇トレンドにあるエリアの特徴としては「人口が増加している」「交通の利便性が高い」「周辺の賃貸物件の空室率が低い」などが上げられます。特に賃貸需要はそのエリアの人口に比例するため、人口の推移と合わせて把握すると判断しやすくなります。

 

 

2_物件の成約実績の推移

ふたつめの視点は、周辺の賃貸物件の成約実績とその推移です。物件の家賃、敷金、契約期間などの成約条件といった情報が確認できれば、周辺家賃の水準が把握でるからです。また、過去数年分の推移データがあれば、家賃が上昇しているのか下降しているのかといったトレンドも見えてきます。

 

3_競合物件とその成約実績

不動産会社に問い合わせをすることで、ある程度入手できるでしょう。自分が投資を検討している運用物件と条件の近い競合物件の情報を参考にすることで、周辺相場に見合った適正な家賃設定に近づけられます。類似した条件(最寄り駅からの距離や間取り、築年数、建物の構造など)でも、家賃の違いで成約実績が良い物件とそうではない物件に分かれます。競合物件を探す際、成約率の良い物件と成約率が悪い物件とを比較することで、賃貸需要に見合った条件を判断しやすくなるでしょう。

 

とはいえ、これらの情報は独自に集めるのは難しいため、不動産会社など専門家に相談をして収集するのがおすすめです。たとえば、投資用不動産の情報に長けた不動産会社であれば、2つ目に上げた「周辺の賃貸物件の成約実績とその推移」などは、レントロールと呼ばれる賃貸借条件(家賃や敷金等、契約日、契約期間、入居者の属性)が一覧表にされたものを情報として保有している場合があります。その他にも、該当するエリアのトレンドなどに関しても、日々市場リサーチをしている不動産会社であれば過去の傾向はもちろん、将来的なの地域の開発情報を握っている可能性もあるでしょう。

 

 

不動産投資で適正な
家賃設定する方法

 

先ほどの適正な家賃設定するための3つの視点を踏まえながら、ここからは少し具体的に、適正な家賃を設定するために利用する3つの計算方法を詳しく解説していきます。

 

1_賃貸事例比例法

賃貸事例比較法とは、周辺物件の似ている条件の賃貸物件と家賃相場を比較して、家賃を算出する方法です。アパートをはじめとした居住用物件の家賃設定をする上でもっともポピュラーな方法で、類似する物件が多いほど、正確に家賃を算出できます。

 

賃貸事例比較法で家賃を算出する際の条件としては

 

・立地:駅に近いほど家賃が高い
・築年数:築年数が浅いほど家賃が高い
・建物構造:鉄筋コンクリート>鉄骨造>木造の順で家賃が高い
・間取り・階数:面積の広い高層階の方が家賃が高い
・設備:オートロック・宅配ボックス・浴室乾燥機などの設備があると家賃が高い

 

などがあります。さらに、これら類似する条件の家賃情報をもとに、各種補正をすることで相場にあった妥当な家賃を算出していきます。各種補正についても簡単に触れておくと

 

・事情補正
特殊な事情が家賃に影響しているケースでは、事情に応じた補正を行います。例えば、親戚に格安の家賃で貸し出しているといった場合です。

 

・時点修正
家賃は時期によっても変動するため、事例として収集した家賃を現在の価格に補正します。

 

・地域要因の比較
築年数や間取りなどの条件がまったく同じでも、地域によって家賃相場は異なります。利便性や、住環境による違いの補正が必要です。

 

・個別的要因の比較
似た条件の不動産物件でも、すべてが同じであることはほとんどありません。専有面積や間取り、建物の構造、築年数、階数、向き、契約内容などの個別的要因を比較して補正します。

 

などがあります。前述の通り、類似する物件が多いほど正確に家賃を算出できるのという特徴がありますが、その逆で似た条件の家賃情報があまりないエリアの場合、正確な家賃設定が難しくなってしまうケースもあるので注意が必要です。

 

2_積算法

投資元本に対して期待できる利益から家賃を計算する方法で、居住用の賃貸物件に多く用いられる家賃算出方法です。

 

積算家賃= 基礎価格 × 期待利回り + 必要経費

 

ここで言う基礎価格とは運用する物件の価格で、原価法や取引事例法によって求めることが不動産鑑定評価基準に定められています。期待利回りとは、投資元本に対して期待される利益の割合です。必要経費には維持管理費、固定資産税、損害保険料に加えて、空室などの損失補てん額も含まれます。積算法は投資額を根拠に計算しますが、実際には期待利回りどおりに実現するとは限りません。

 

3_収益分析法

収益分析法は、ホテルや店舗などの事業用物件の家賃算出に多く使われる計算方法で、「その物件を利用した場合に、企業が得られる収益はどれくらいか?」に着目して賃料を設定する方法です。計算式は

 

収益純賃料 + 必要経費

 

収益純賃料とは、売上から原価や販売管理費を除いた企業の営業利益です。事業用物件は、事業の収益に見合わない高すぎる賃料だと入居者が見つかりません。収益分析法では、企業が存続できる収益を確保したうえで適正な家賃を算出します。収益分析法は、おもに借主の利益に着目し、かつ事業用物件に多い賃料算出法なので、アパート経営では参考程度にとどめておきましょう。

 

 

適切な家賃設定を行うために
目安にすべき5つの項目

 

不動産投資で適正な家賃を設定する上で、考慮したい基準がいくつかあります。家賃設定の基準となる5つの項目について見ていきましょう。

 

● 立地・周辺環境:人気・便利な立地か?
● 築年数:新しいか?
● 間取り・面積・階数:部屋数が多いか?面積が広いか?上層階か?
● 構造:耐久性・防音性・防火性が高いか?
● 設備:周辺競合物件より充実しているか?

 

<立地と周辺環境>

立地や周辺環境は家賃設定の基準になる重要な項目です。例えば、最寄り駅まで徒歩10分圏内の立地や、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの生活に便利な施設が物件の周辺にある環境なら、同じ地域でも高めの家賃を設定しやすいでしょう。特に、最寄り駅が都市圏の主要駅にアクセスしやすい場合、都市圏で働く入居者にとって物件の魅力は非常に高くなります。

 

ただし、間取りや延床面積と同じく、ターゲット層の居住スタイルによって好まれる立地や周辺環境は異なることに注意が必要です。例えば、駅や近隣に夜遅くまで営業しているスーパーがある、街灯が多く夜道が明るい、通勤に便利な場所は単身者に人気。子育て支援制度が整っている自治体や、待機児童が少ない自治体、病院や学校など公共施設が周辺に多い場所はファミリー層に人気といった具合です。

 

<築年数>

築年数も家賃設定の基準のひとつになります。築年数が浅い物件は、誰かが生活した痕跡が少なく、内装や外装、設備は美しい状態であるため人気です。このため、比較的築年数が浅い物件のほうが高めに設定しやすいです。ただし、入居者は物件の築年数だけでなく、上記の立地や周辺環境を重視する傾向にあります。築年数が浅いことだけを理由に強気な家賃を設定するのは避け、総合的に判断したいところです。

 

<間取り・面積・階数>

従来は基本的に部屋数が多く延床面積が広い物件の方が、間取りが似ている物件なら面積が広い方が、家賃は高くなる傾向にありました。しかし、近年はニーズにマッチした間取りや部屋数が重要視されていて、一概に広い物件ほど家賃が高くなるわけではありません。一人暮らしか子育て世代かなどによって、入居者の物件に対するニーズは変わってきます。また、同じ社会人の一人暮らしでも、リモートワークで在宅が多い社会人とそうでない社会人とでは生活スタイルも異なります。家賃を設定する際は、ターゲット層のニーズに合った間取りと延床面積のバランスを考慮するのがポイントだと言えます。

 

特にコロナ禍以降、家に滞在する人が増加し、一人暮らしでも25㎡程度の広さの1Kが好まれるようになりました。25㎡のワンルームであっても、バス・トイレ別の物件は人気のため、家賃を高めに設定したいのであれば、水回りの設計を重視しましょう。ファミリー向けアパートでは、リビングでゆったり過ごせるLDKや、間仕切りができる間取りが人気です。アパート建設の前に、ターゲットをしっかり絞って部屋を設計すると、空室リスクを下げられます。

 

<構造>

耐久性や防音性に優れた鉄骨造は木造に比べて人気が高いため、家賃を左右するポイントとなります。木造のアパートは防音性・防火性で鉄骨造よりも劣り、最上階では夏場の室温が上がりやすいなどのデメリットがあります。とはいえ、鉄骨造のアパートは家賃が高い分、見合った設備がなければ、かえって空室を作る原因にもなりかねません。

 

<設備>

家賃を高めに設定したい場合は、設備で近隣物件と差をつけるのも一つの方法です。競合物件よりも設備が充実していれば、周辺の家賃相場より高めの家賃を設定しやすいからです。ターゲットごとにニーズの高い設備は異なるため、入居率の高い不動産の設備を参考にするといいでしょう。一般的に賃貸物件でニーズの高い設備としては

 

・エアコン
・無料インターネット
・テレビモニター付きインターホン
・エントランスのオートロック
・宅配ボックス
・浴室乾燥機
・24時間利用可能なゴミ置き場
・温水洗浄便座

 

などがあげられます。特に近年は、防犯面を気にする入居者が多いので、オートロックやモニタ付インターホンを設置するのがおすすめです。特にインターネット利用料が無料の物件は、家賃が高くても人気があります。

 

 

賃貸経営において家賃設定で
気をつけるべきポイント

 

アパートなどの賃貸経営を成功させるためには、上記にあげたポイントと合わせて、家賃設定の際に以下の点に気をつけることが大切です。

 

● 不動産会社や賃貸管理会社の意見を参考にすること

家賃相場は、インターネットの不動産ポータルサイトで調べることが可能が、インターネット上の情報だけでは、実態に即した正確な情報の入手が難しいため、物件があるエリアの不動産業者や物件の賃貸管理会社にヒアリングすることも大切です。そのエリアや物件に詳しいプロだからこそ持っている知見があります。賃貸物件に関する動向や所感、今後の地域情勢(商業施設の建設や新駅の開発など)といった不動産価値に影響するような情報を得られるかもしれません。また、判断基準や相場を比較するときに注目すべきポイントなど、専門家のノウハウも教えてもらえる可能性があります。

 

● 収支計算をすること

不動産投資を成功させて収益を得るには、収支計算を行うことが大切です。不動産の賃貸経営は、長期的な視点での投資になるのが一般的で、初期に金融機関などから借り入れた融資額を計画的に返済していく必要があるためです。

 

ローン返済は毎月の家賃収入からまかなうことになりますが、投資額が大きく運用期間が長期となる不動産投資で利益を出すには、適正な家賃設定が欠かせません。そのため、空室率や家賃の下落リスクなども考慮した上で、10年後、20年後にも利益が出せるかどうかの収支計算やシミュレーションをしっかり行う必要があります。

 

● ローンの返済比率を計算すること

ローンの返済額が大きいとキャッシュフローに余裕がなくなり、予想外の支出などに対応できない可能性があります。したがって、家賃収入に対するローンの返済比率を計算し、ローンの返済比率を50%以下、可能であれば40%以下に抑えるのが目安といわれています。

 

加えて、その物件をどのように運用していくかによっても、気をつけておくべきポイントは変わります。

 

空室を減らすために即入居を狙う場合は敷金や礼金を下げて、初期費用を下げるのが有効です。フリーレントの採用も、入居者にとっては初期費用負担が低く、契約の後押しとなります。ただし、敷金礼金がゼロのゼロゼロ物件やフリーレントは、家賃を滞納しがちな入居者が契約するリスクや事故物件と勘違いされる可能性もあります。初期費用をなるべく抑えるとともに、広告や入居審査を入念に行い、トラブルを未然に防ぎましょう。

 

将来的にアパートを売却する予定があるなら、定期的なメンテナンスで資産価値を維持しましょう。木造の場合、鉄骨造に比べて老朽化が激しいので、特に注意が必要です。適宜内装のリフォームや設備投資をおこない、資産価値を維持しましょう。

 

 

最新の家賃動向は?
2024年の全国家賃動向

 

不動産情報サービスのアットホーム株式会社により、2024年6月の全国主要都市「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向が発表されました。そのデータによると

 

・マンションの平均募集家賃は、東京23区・東京都下・神奈川県・埼玉県・札幌市・名古屋市・京都市・大阪市・福岡市の9エリアが全面積帯で前年同月を上回る。

 

・マンションは、ファミリー向きが神戸市を除く12エリアで前年同月を上回る。中でも、神奈川県・埼玉県・千葉県・札幌市・京都市の5エリアは2015年1月以降最高値を更新。

 

・アパートも、ファミリー向きが神戸市を除く12エリアで前年同月を上回る。中でも、埼玉県・千葉県・京都市・大阪市・広島市の5エリアは2015年1月以降最高値を更新。

 

 

といった傾向が見て取れます。こういった最新の情報も確認しながら、物件やエリアのみならず、日本の賃貸市場の傾向についても日々アンテナをはっておくことをおすすめします。

 

詳しくは以下のリンクからご確認ください。

https://athome-inc.jp/wp-content/themes/news/pdf/chintai-yachin-202405/chintai-yachin-202405.pdf

 

 

 

家賃設定の勘所は
収益性と相場のバランス

 

賃貸経営で家賃を設定する際は、3つの算出方法から目安金額を算出します。ただし、算出した家賃が、所有する物件に対して適正な金額とは限らないため、求める収益性と周辺相場の両面から慎重に検討して決定する必要があります。

 

また、少しでも高い家賃に設定したい場合には、入居者にとって魅力的なメリットも同時に提供しましょう。入居希望者が集まらなかったり、退去されたりすると、収益性そのものが失われてしまいます。賃貸経営で失敗しないためには、入居者のニーズも汲み取った適正な家賃を設定することが大切です。

 

私たち今村不動産では、地域エリアを絞り込みながら、競合物件と比較して魅力的な設備を備えた投資用木造アパート「Well Being」シリーズを全国に順次開発しています。ご興味がございましたら、ぜひお問い合わせのうえ会員登録いただけますと幸いです。物件情報を優先的に提供させていただきます。

 

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