不動産投資を始めると、毎年の確定申告や税負担の重さを意識するようになります。家賃収入は安定したキャッシュフローをもたらす一方で、課税所得が増えれば所得税や住民税の負担も増えてしまいます。そこで近年注目されているのが「不動産投資」と「ふるさと納税」を組み合わせた節税戦略です。
ふるさと納税は自己負担2,000円で全国の自治体に寄付でき、その分が翌年の税金から控除されます。不動産投資による節税と並行して活用することで、効率よく税負担を抑えながら資産形成と地域貢献を両立できるのです。本記事では、不動産投資とふるさと納税の仕組み、両者を組み合わせるメリット・注意点、実践のステップまでを詳しく解説します。
目次
なぜ「不動産投資+ふるさと納税」が注目されるのか?

不動産投資は、減価償却やローン利息、修繕費などを経費として計上でき、課税所得を抑える効果があります。一方、ふるさと納税は寄付額のうち自己負担2,000円を除いた金額が控除対象となり、住民税や所得税を減らすことができます。この2つを併用することで、税負担をさらに軽減し、実質的な手取りを増やせるのです。特に不動産投資家は確定申告が必須であるため、ふるさと納税の寄付金控除を同時に申請でき、相性の良い制度だと言えます。
また、ふるさと納税は地方自治体への寄付という社会貢献の意味合いを持ちます。投資で得た利益を地域に還元することで、節税以上の満足感を得られる点も特徴です。さらに返礼品として米や肉、果物などを受け取れば、生活費の削減にもつながり、実質的なリターンを増やすことも可能です。
不動産投資の基本と節税ポイント

不動産投資の収益は大きく「家賃収入」と「売却益」に分かれます。毎月の家賃収入は安定したキャッシュフローを生み出し、売却益は資産価値の上昇や市場環境によって得られる一時的な利益です。これらの収入に課税される際、経費をどのように計上するかが重要になります。
例えば、建物部分の減価償却費を法定耐用年数に基づいて計上すれば、帳簿上の利益を圧縮できます。ローンを組んで購入した場合、その利息部分も経費となります。さらに、賃貸管理会社への委託費や修繕費、固定資産税や都市計画税なども経費計上可能です。こうした節税テクニックを正しく使うことで、不動産投資の魅力である「税負担を抑えつつ資産を増やす」という効果が高まります。
ふるさと納税の仕組みと活用法

ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付し、その分の税金が控除される制度です。寄付額のうち2,000円を超える部分が、翌年の所得税や住民税から控除されます。注意すべきは「控除の上限額」で、これは年収や家族構成、他の控除の有無によって異なります。上限を超えた寄付は純粋な寄付として扱われ、節税効果はなくなります。そのため、シミュレーションツールを使って適切な寄付額を計算することが大切です。シュミレーションツールは総務省や各ふるさと納税サイトに掲載されてます。 返礼品もふるさと納税の大きな魅力です。お米や肉、果物といった生活必需品を選べば家計の助けとなり、体験型や旅行クーポンなどを選べば家族のレジャーに活用できます。不動産投資で得た利益を有効に還元できる点が、不動産投資家にとって魅力的なのです。
不動産投資とふるさと納税を組み合わせるメリットとデメリット

この2つを組み合わせるメリットは、税負担の軽減効果を最大化できることにあります。不動産の経費計上による節税と、ふるさと納税の寄付金控除を重ねることで、所得税・住民税の削減幅を広げられるのです。また、返礼品によって家計を助け、投資で得たリターンを地域に還元できる点も大きな魅力です。
一方で、デメリットも存在します。不動産投資には初期投資や融資返済といった現金流出が伴い、ふるさと納税も一時的には寄付金を支払う必要があります。また、制度利用のためには確定申告が必須となるため、手続きの煩雑さを感じる人もいるでしょう。さらに、税制改正によって制度が変わる可能性もあり、最新の情報を把握する姿勢が欠かせません。
具体的な活用ステップ

不動産投資とふるさと納税を効果的に組み合わせるには、以下の流れを踏むとスムーズです。
まず、自身の投資収支をシミュレーションし、年間の課税所得を把握します。そのうえで、ふるさと納税のシミュレーションツールを利用して、寄付可能な上限額を算出します。次に、物件を選ぶ際には築年数や耐用年数に注目し、減価償却効果を最大化できる投資対象を選ぶことがポイントです。
手続きについては、不動産投資をしている場合は必ず確定申告を行う必要があります。ふるさと納税はワンストップ特例制度を利用する方法もありますが、確定申告をする投資家は、寄付金控除を申告時にまとめて手続きする方が合理的です。寄付のタイミングは12月末までに行えばその年の控除対象になるため、年末の確定申告に合わせて調整すると効率的です。
ケーススタディ:不動産投資家のリアル活用例
例えば、年収800万円の独身会社員Aさんは、新築アパートを購入し、年間200万円の減価償却費と60万円のローン利息を経費として計上しました。さらにふるさと納税で6万円を寄付した結果、合計約80万円の節税効果を得られ、返礼品として米や肉、果物を受け取り家計の負担軽減にも成功しました。
また、年収1,200万円・家族4人のBさんは、中古区分マンションを現金購入し、年間120万円の減価償却費を経費に計上しました。ふるさと納税では上限12万円を寄付し、教育関連の返礼品や体験型チケットを得ることで家族の満足度を高めています。結果として、132万円の節税効果と実質的なリターンを享受できました。
注意点とリスク管理

不動産投資とふるさと納税を組み合わせて活用する際は、多くのメリットがある一方で、押さえておくべき注意点も少なくありません。制度の仕組みを誤解したまま利用すると、思ったように節税効果を得られないばかりか、余計な税負担やトラブルを招くこともあります。ここでは特に重要なポイントを整理して解説します。
控除限度額の把握と計算
ふるさと納税の控除限度額を考える上で、不動産投資家にとって特に重要なのが「給与所得と不動産所得を合算して計算する」という点です。
会社員として給与を得ている方であっても、不動産所得が発生している場合は必ず両方を合算した課税所得を基準に、ふるさと納税の控除上限額が決まります。
たとえば、給与収入が600万円ある人が、不動産投資で年間50万円の赤字を計上している場合、課税所得は実質的に550万円程度とみなされます。その結果、ふるさと納税で利用できる控除の上限額は下がってしまいます。
一方で、同じ給与600万円の人が不動産投資で年間100万円の黒字を出しているケースでは、課税所得は合計700万円とみなされ、ふるさと納税の上限額は大きく広がります。
このように、不動産投資による収益や減価償却・ローン利息の経費計上によって「控除枠が拡大するケース」「逆に縮小するケース」の両方があり得るのです。
また、不動産所得が20万円以下の場合は確定申告を省略できますが、その場合はふるさと納税の控除額計算に正しく反映されないことがあります。課税額と控除メリットを比較し、「確定申告をする方が得かどうか」を事前に判断することが節税効果を最大化する鍵です。
不動産投資家にとっては、「毎年の収支によってふるさと納税の上限が変動する」点を軽視できません。必ず年末にシミュレーションを行い、最新の収支を踏まえて寄付額を決定するようにしましょう。
副業バレのリスク
不動産投資を「副業」として行っている場合、ふるさと納税による住民税控除の増加がきっかけで会社に副業が発覚する可能性があります。特に副業禁止の会社に勤めている場合は注意が必要です。副業バレを防ぐためには、住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替えるなどの対策も検討しましょう。
確定申告とワンストップ特例の制約
不動産投資家は原則として確定申告を行う必要があるため、ワンストップ特例制度は利用できません。つまり、ふるさと納税の寄付金控除も確定申告で手続きする必要があります。確定申告を忘れると控除が受けられなくなり、寄付金が無駄になってしまうので要注意です。特に年末に寄付をまとめて行う場合は、翌年の申告準備を忘れないようにしましょう。
寄付時期と申請タイミング
ふるさと納税は、その年の12月31日までに行った寄付が控除対象となります。特に不動産売却益を得た場合、その「売却した年」の課税所得に反映されるため、年内に寄付を行わなければ控除の恩恵を受けられません。年末に売却益が確定するケースでは、早めに寄付先を決めておくことが重要です。
返礼品の取り扱い
寄付額の30%以上に相当する返礼品は総務省のルール違反となり、控除対象外になる可能性があります。さらに、返礼品の価値が大きくなると「一時所得」として課税されるケースもあるため注意が必要です。特に複数の自治体から高額な返礼品を受け取る場合は、一時所得の合計額を確認し、課税対象になるかどうかを把握しておきましょう。
他の控除(住宅ローン控除など)との併用
住宅ローン控除を利用している場合、所得税や住民税がすでに全額還付されていると、ふるさと納税の控除枠が実質的に使えなくなることがあります。つまり、寄付をしても控除を受けられず、純粋な寄付に終わってしまうリスクがあるのです。住宅ローン控除、不動産投資の経費計上、ふるさと納税など複数の控除を併用する際は、必ず全体の控除額をシミュレーションしてから判断することが欠かせません。
よくある質問
Q1. 不動産投資で確定申告する場合、ふるさと納税のワンストップ特例は使えますか?
→ 使えません。確定申告を行う方は、寄付金控除を申告時に合わせて申請してください。
Q2. 節税効果を重視して物件を選んでも良いですか?
→ 節税は副次的なメリットに過ぎません。まずは安定した家賃収入や将来的な資産価値を重視すべきです。
Q3. 複数の自治体に寄付すると手続きが面倒ですか?
→ ワンストップ特例では5自治体までに制限されますが、確定申告を利用すれば複数の寄付を一括で申請可能です。
まとめ
不動産投資とふるさと納税を組み合わせることで、節税効果と地域貢献を両立できる大きなメリットがあります。減価償却やローン利息による節税と、ふるさと納税による寄付金控除を同時に活用することで、効率よく税負担を軽減し、実質的な手取りを増やすことが可能です。ただし、制度の仕組みや寄付上限を理解し、物件選びを慎重に行うことが成功の鍵となります。まずは収支シミュレーションから始め、次の確定申告に向けて賢く準備を整えてみましょう。
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