京都の景観規制が不動産投資に与える影響とは?ー京都で不動産投資を始めるポイントを徹底解説ー

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京都の景観規制が不動産投資に与える影響とは?ー京都で不動産投資を始めるポイントを徹底解説ー

京都は、祇園祭をはじめとする伝統的な行事や歴史的建造物が多く存在し、観光地として人気の高いエリアです。修学旅行生やインバウンド客など、国内外から毎年多くの観光客が訪れ、大きな賑わいを見せています。特に、コロナ禍が明けた今年の紅葉シーズンはホテルの宿泊料金がコロナ禍前の約2倍に高騰するなど、訪日外国人客による大きなインバウンド需要が見受けられました。京都を訪れる観光客は、歴史的な街並みや美しい木造建築などを楽しみにしている方も多いでしょう。

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、このような美しい景観を守るため、京都には厳格な景観規制があります。観光地としてではなく、不動産投資の視点で京都の街を見た時、この景観規制は不動産投資どのような影響をもたらすのでしょうか。

 

今回は「京都」エリアに絞り、不動産投資を行う際のポイントについて解説していきます。京都で不動産投資を行う際におすすめのエリアも紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひご参考ください。

京都の景観規制とは

京都市では「建物は個人所有の財産だが景観は公共の財産」という考え方を持ち、独自の景観対策を行なっています。美観地区や美観形成地区、景観計画域などエリアによって様々な規制内容があり、観光の中心地である祇園以外でも、京都市の多くのエリアが景観条例の対象となっています。まずは、景観規制の具体的な内容をご紹介します。

 1.眺望規制

京都では史跡や神社仏閣の景観を守るため、「眺望景観保全地域」というものが定められています。京都では毎年8月16日に「大文字(五山送り火)」という伝統行事が行われますが、「眺望景観保全地域」における建物は、この大文字が京都市内にある7箇所の「視点場」から必ず大文字が見える高さでなくてはなりません。このように、京都では伝統的な景観を守るため、建てられる建築物の高さに規制があるのです。

 

 

▲京の景観ガイドライン「眺望景観編(前半)」(令和4年4月改訂、平成30年9月初版公開)より

 

2.デザイン制限

また、高さだけでなくデザインや色彩の制限も存在します。デザイン規制についても、視点場から視認することができる建築物等が景観を阻害しないことを目的とし、外壁、屋根等の形態、意匠、色彩について基準が定められています。外壁色は「歴史的町並みと調和する色彩」として具体的な色の指定があり、彩度(色の鮮やかさを段階的に分けて度数表示したもの)についても「2」を超えるものや、Y系(黄色系)の彩度が4を越えるものは認められない、などの詳細な基準があるのです。

 

 

京の景観ガイドライン「建築デザイン編」(令和5年4月改訂、平成21年3月初版公開)より

 

 

 

京都で不動産投資をするメリット

次は、京都で不動産投資をするメリットについて解説します。景観規制は、不動産投資をする上で影響を与えるのでしょうか。

 

1.単身者向け物件の需要が高い

京都には大学が多く存在することから、学生人口が多いエリアとなっています。令和2年度時点で京都の大学数は、47都道府県中6位で、他府県からも京都にくる学生が多く存在します。そのため、京都の学生向け賃貸物件の需要は非常に高くなっています。さらに、入居者が学生の場合、その学生が大学を卒業し物件を退去したとしても、また新入生がやってくるため空室リスクは比較的低くなります。また、大学だけでなく、京都には任天堂や京セラ、ワコールなど大企業の本社が置かれています。このような企業の従業員も、多く京都に住んでいることから、大学生と合わせて労働者による単身者向け物件の需要も高いと言えます。

2.安定的な稼働により物件を長期保有がしやすい

歴史的景観や四季折々の自然が美しい京都は、定年退職後の安住の地として、また、国内外の資産家のセカンドハウスとしての需要が根強くあります。長い歴史に培われた京都の魅力が損なわれない限り、京都への移住を希望する層は一定数存在し続けるでしょう。先ほど述べたように、京都は単身者向け物件の需要があり、空室リスクが少なくなっています。単身者だけでなく、定年を迎えた夫婦、資産家など様々な層が京都への居住を希望することから、京都の物件の入居率は高い傾向にあります。よって、物件が安定稼働し、物件を長期保有しやすいことがメリットの一つと言えるでしょう。

3.競合となる物件の供給が限られている

先ほど述べたように、京都は世界に誇る美しい景観を維持するため、厳格な規制があります。その規制が維持されているからこそ、京都の地に魅力を感じる人は途絶えないのです。しかし、京都で物件の新規開発を進める場合には、この厳格な規制を守らなくてはならず、容易に物件が建てられません。よって、京都への居住を希望する旺盛な需要はあれど、物件の供給がそれと足並みを揃えて進むことはなく、供給過剰な状態になる可能性は低いのが現状です。つまり、京都での不動産投資は競合物件が少なく、その結果、空室リスクが低くなります。これは、京都の厳しい景観規制の不動産投資におけるメリットと言えるでしょう。

 

 

 

京都で不動産投資をするデメリット

1.火災のリスクが高い

京都府の中でも特に京都市内は古い町屋が多いエリアとなっています。町屋の多くは密集しているので火災が発生すると一気に燃え広がり、規模の大きな火災になる恐れがあります。そのため、他の都道府県と比べて火災リスクが大きいので、火災保険への加入は必須です。

 2.地震のリスクが高い

滋賀県から京都市右京区まで直線上に活断層が通っています。そのため、大地震が発生した場合大きな被害を受ける恐れがあります。新たに賃貸住宅を建て、不動産投資を行う場合は耐震性の強い建物を建てるようにしましょう。また、もしもの時に備えて地震保険に加入することも地震に備える一つの手段です。地震保険やその他自然災害に関する不動産投資のリスクは以下の記事でも紹介しておりますので、興味のある方はご参照ください。

 

〈自然災害に関する記事はこちら〉

▶︎https://www.imaestate.com/media/news/360/

「不動産投資における自然災害リスクと対策」(2023年10月2日更新)

 

 

 3.新築する際は規制に気を付ける必要がある

京都にはその美しい街並みを維持するために建物に関する様々な規制が設けられています。新しく建物を建て、不動産投資を行う場合はこれらの規制を守って建てなければなりません。規制の内容などを事前にチェックし、規制に反しないよう設計の段階から十分注意しておく必要があります。京都の不動産投資は、厳しい景観規制により物件の開発が簡易に進まないことから、競合物件が少ないというメリットがありましたが、実際に自分が投資物件を開発していく場合は、この規制が一つの障壁となってしまうのです。

 

以上から、不動産投資において京都の景観規制が与える影響にはメリットとデメリットの両方が存在すると分かります。メリットは、物件の開発が簡易に進まないことから競合物件が少なく、空室リスクが低いということ、デメリットは自分が新築して不動産投資を始める際は規制内容を確認し、規則に反しないよう注意する必要があるということです。京都での不動産投資は、交通アクセスや人口だけでなく、どのような規制が適用される地域なのかについても意識を向けるようにしましょう。

 

 

 

京都で不動産投資を行うおすすめエリアとは

1.左京区

京都の左京区は下鴨神社や銀閣寺など歴史ある名所旧跡が多くあります。また、京都市内では最多の7つの大学が集まる地域なので、「学生の街」としての側面も持ち合わせています。その中でも特に不動産投資におすすめなのが出町柳駅周辺のエリアです。その理由は京都と大阪を結ぶ京阪電車と、市営電車のターミナル駅があるためどこへ行くにも利便性が高い立地であるということです。また、京都大学や京都歯科大学のキャンパスがあり、単身者向け物件のニーズが非常に高いという理由もあります。京都府の都心からは少し離れていますが、閑静な住環境であり、住みたい街ランキングにも常に上位にランキングしているエリアなのです。

2.田の字地区

京都市で最も資産価値が高いエリアは「田の字地区」と呼ばれる御池通りと五条通り、河原町通り、堀川通りに田の字のように囲まれた地域です。この地域は京都の中心街である四条や烏丸などがあり、大型の商業施設や百貨店なども多く利便性が高いエリアになります。そのため、賃貸需要が高く、空室や家賃が下がるリスクも低いため、不動産投資におすすめのエリアです。また、不動産価値も下がりにくく値上がりする可能性もあるためキャピタルゲインを狙う投資方法にも適した地域といえます。

3.木津川市

木津川市は馴染みのない地方かもしれませんが、今後売却価格の高騰が見込まれる地域として期待されています。木津川市は京都府の南部に位置し、南は奈良県奈良市に接しています。木津川に代表される豊かな自然や里山、慕仁宮跡をはじめ、京都府内で京都市に次ぐ数の国指定文化財を保有するなど、美しい自然や歴史情緒にあふれた地域です。

 

なぜ、この木津川市が不動産投資におすすめなのかというと、現在、木津川市の人口は全国的に珍しく増加傾向にあり、人口増加に伴う賃貸需要や売却価格の高まりが期待できるからです。その要因として2点挙げられます。一つ目は、企業誘致に力を入れているということです。木津川市は「文化学術研究地区(以下、学研都市)」が開発整備されており、研究施設や大学施設、文化施設が立地しています。木津川市はこの学研都市の魅力を最大限活かして、企業誘致に積極的に取り組んでいます。企業誘致によって雇用機会が増え、労働人口が増加していることが人口増加の要因として考えられます。二つ目は移住促進特別区域」の補助金制度です。木津川市の加茂町瓶原地域は、「移住促進特別区域」に指定されており、市外からこの区域内の空き家に移住すると補助金(移住促進事業補助金)を活用することができます。それ以外にも、空き家改修等の支援、借入資金の金利負担の支援など様々な支援が用意されており、これらの制度を利用した転入が人口増加につながると考えられます。

 

 

 

将来を見据えた不動産投資を

今回は、景観規制が不動産投資に与える影響をテーマに京都の不動産投資についてお話しました。京都は歴史ある街並みや四季が美しく、華やかな祇園や金閣寺、修学旅行生や外国人で賑わう清水寺をイメージされるかもしれません。しかし、不動産投資をする上では京都の中でも様々なエリアを吟味し、景観規制などに気を付けて計画を進めなくてはいけません。また、古都として1000年以上続く価値が損なわれないとしても、10年、20年後にどのエリアが成長するのかなど、将来を見据えて投資を行うことが不動産投資成功への鍵となります。

 

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